北海道大の村上和弘助教らは、様々な細胞に育つ胚性幹細胞(ES細胞)から、卵子や精子のもとになる「始原生殖細胞」を効率よく作る実験にマウスで成功した。特定の遺伝子をES細胞に入れて薬剤で働きを高めたところ、90%以上が変化した。実験動物を作りやすくなり、実験期間の短縮につながる。
ES細胞にあり、あらゆる細胞に育つ性質にかかわる遺伝子に注目した。遺伝子の働きを外から補うと、始原生殖細胞への変化を促すたんぱく質ができることを突き止めた。
ES細胞に遺伝子を入れてから約10日で成熟した始原生殖細胞になる。精子や卵子が作れないマウスに移植すると、約30日で卵子や精子ができる。霊長類でも応用できるという。
ES細胞から始原生殖細胞を作るには、従来は高価なたんぱく質が必要だった。今回の方法を使えばコスト削減にもつながるとしている。