■スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)(米格付け会社) 22日、香港上場の中国不動産大手、大連万達商業地産の長期の企業信用格付けの見通しを「ネガティブ」に引き下げた。不動産依存からの脱却は難しいとみている。
万達は2016年の不動産販売額の見通しが前年比39%減になると発表。S&Pは今後2年間は低水準が続く可能性が高いため、万達が不動産依存から脱却し、サービス業主体のビジネスモデルへと転換するのは難しいとみている。現時点での格付けは「BBB+(トリプルBプラス)」。
同社の親会社、大連万達集団は12日、「ゴジラ」の製作などで有名な米映画投資会社、レジェンダリー・エンターテインメントを35億ドル(約4100億円)で買収すると発表。22日にはインドのハリヤナ州に総額100億ドルを投じて工業団地の建設に乗り出すことを表明するなど、海外での大型投資を積極化している。
王健林董事長はさらに「年内に大型の買収案件を海外で3つ、国内で2つ完了させる」と述べ、さらなるM&A(合併・買収)に意欲を示している。
万達はマンションや商業施設、ホテルなど不動産開発で成長してきたが、中国経済の減速から不動産主体のビジネスを転換。資産を圧縮して「持たざる経営」へとシフト。商業施設やホテルの運営に注力するほか、観光や映画、スポーツ、金融など事業の多角化で収益を得る「軽資産」戦略を進めている。(大連=原島大介)