女性消費者はその並々ならぬ高い購買力によって、市場競争の主役の座に躍り出て、「女性消費」はますます人を引き寄せている。京東が作成したビッグデータランキングによると、投資家の目から見て消費者としての価値を高い順に並べると女性、高齢者、男性になるという。ブランドとプラットフォームが女性のハートを射止めようと思うなら、女性の価値の追求をより深いレベルで認識しなければ、「女性経済」をめぐる市場競争で頭角を現すことはできない。
火鍋レストラン「海底撈」は2020年に「メイクポーチ」サービスを打ち出した。中にはメイク落としシート、油取り紙、1回分のマッチ型口紅などが入っていて、食事前にシートで口紅を落とし、食事中は油取り紙で顔を拭き、食後は口紅でメイク直しをするようになっている。このニュースが伝わると、大勢の「海底撈」ファンが店を訪れ、次々に「サービスが行き届いている」とコメントを発信した。それだけでなく、「海底撈」は豪華な洗面台も取り入れ、メイクブラシ、メイクスポンジ、眉毛カミソリなど必要なものをずらりとそろえた。シャンプーサービスを提供する店舗まであり、非常によく努力しているといえる。
頭をひねって頑張っているのは「海底撈」だけではない。男性が主な消費ターゲットである伝統的アルコール類市場でも、ここ数年は女性の消費が著しく伸びている。阿里巴巴(アリババ)がこのほど発表した春節(旧正月、今年は2月12日)の消費報告によると、2021年春節にアルコール類を購入した人は前年の2倍に達し、そのうち7割近くを女性が占め、20-35歳の都市部に住む女性がワインとスパークリングワインを最も好むという。RIO(鋭澳)のカクテルが一世を風靡して以来、マーケティングのターゲットは若い消費者、特に若い女性消費者になり、アルコールメーカーは次々に新たなアイディアを打ち出すようになった。貴州茅台(マオタイ)酒股フン有限公司(フンはにんべんに分)は悠蜜(umeet)ブランドのブルーベリー味スピリットを発売し、女性を意識して口当たり、ボトル、グラスをデザインした。白酒(パイチュウ)の江小白ブランドは梅酒「梅見」を発売し、同年3月14日には人気ライブ配信パーソナリティの李佳■(王へんに奇)さんが淘宝(タオバオ)のライブ配信室で「梅見」20万本を売り切った。メーカーの梅見チームは、「取り引きした消費者の画像をみると、若い女性消費者の占める割合が男性をはるかに上回る」との見方を示した。
女性の考え方に変化
伝統的業界が女性消費者の中から新たな顧客資源を発掘しようと努力しているのに比べ、ネット有名人を起用したライブ配信、コミュニティECといったインターネットを土台とした新業態は、登場したその日から「女性消費」とより一層深い関わりをもっている。こうした新業態の爆発的発展は、女性の消費に対する考え方の変化ももたらした。
貴州省銅仁市で観光ガイドをしている羅英さんは、休憩時間に人気ライブ配信パーソナリティの薇▼(女へんに亜)さんのライブ配信を見るのを楽しみにしている。「いつも上海市や広東省などの大都市から来る観光客を受け入れており、自分とこうした一線都市の女性たちと趣味が同じで話題も共通だ。ライブ配信を見れば地元にない商品が買えるし、他の地域の人がどんな商品を好むのか、どんな風に暮らしているのかもわかる」という。
20年には新型コロナウイルス感染症が人々のライフスタイルを変化させ、多くの新しい消費理念が花を咲かせ実を結んだ。女性ユーザーはショート動画共有アプリの「TikTok(ティックトック)」や「快手」、SNSの「微博(ウェイボー)」、ショッピング・共有プラットフォーム「小紅書」などのコンテンツプラットフォームにより多く時間を使いたいと考え、プラットフォーム上で購買意欲を植え付けたり欲しかったものを手に入れたりし、目新しい事やもののためなら喜んでお金を使う。昨年の携帯電話による淘宝(タオバオ)のライブコマースビッグデータによると、ライブコマースは女性に最も人気があり、55%を占める女性の寄与度が68.8%に上り、淘宝プラットフォームのユーザー全体を明らかに上回る。
コミュニティ団体購入が照準を合わせるのも女性消費者だ。英調査会社カンター中国法人が発表した「コミュニティ団体購入白書2020」の中の調査データからわかるのは、女性消費者はコミュニティ団体購入で6割から8割を占め、主要な消費層になったことだ。
女性消費の恩恵を受けるのは企業だけではなく、女性消費者自身にもより多くのチャンスや消費のアイデアが提供される。多くの80後(1980年代生まれ)と90後(1990年代生まれ)の女性がECプラットフォームで自ら起業し、インターネットの「女性の時代」に事業の方向性と暮らしの楽しみを見いだしていることが注目される。(編集KS)
「人民網日本語版」2021年3月17日