鹿児島市で女性に暴行したとして強姦罪に問われた男性の無罪判決が確定したことを受け、警察庁は27日、性犯罪などの重要な証拠について、DNA鑑定の経過を適正に記録したり、試料が微量でも鑑定を実施したりするよう全国の警察に指示した。
男性を巡る裁判では、一審の鹿児島地裁が有罪を言い渡したが、二審の福岡高裁宮崎支部は今年1月、逆転無罪とした。二審判決は、捜査段階で検証資料となるDNA鑑定の経過を記録したメモが廃棄されたことに疑問を呈したほか、「微量のため鑑定不能」とした鑑定を「稚拙」などと批判した。
警察庁によると、鑑定経過の記録は、検査日時や内容、結果などの項目を鑑定後にまとめて記載することが認められていた。今後は検査を行うたびに経過を具体的に記録するよう求め、裁判で正しい方法で行われたかなどを検証できるようにする。
これまではDNAが微量の場合、検出できないとして鑑定を実施しないケースもあった。このため鑑定が困難とみられる場合でも、重要な証拠はできるだけ鑑定するよう求める。必要に応じて同庁の科学警察研究所に相談を促す。