滋賀経済同友会は県経済活性化に向けた提言をまとめ、県などに提出した。インバウンド(訪日外国人)需要の取り込みについて、滋賀県の観光地へ誘客するより、県内各地の宿泊施設に数日間滞在してもらい、そこをベースキャンプのようにして、関西だけでなく中部や北陸に日帰り観光に向かうスタイルの旅行を提示すべきだとした。宿泊や食事、土産物の消費拡大を目指すよう発想の転換を提案した。
提言ではまず、滋賀県最大の観光資源である琵琶湖は京都、奈良などに比べ訪日客にとって魅力がやや低いと指摘。一方で、滋賀県の各地は関西のほか中部、北陸まで鉄道や自動車で2時間圏内にあり、交通の利便性が高い点に着目した。
現在は京都や大阪でホテルを確保できずに大津市などに宿泊する訪日客が増えているが、他の地域への波及も目指す。例えば、長浜市をベースに北陸や名古屋に日帰りし、空いた時間に地元商店街の黒壁スクエアを散策してもらうとか、甲賀市から伊勢志摩や奈良に出かけ、甲賀忍者の体験施設も楽しむといった過ごし方を想定している。
さらに2020年の東京五輪の後には都市部の宿泊施設が余剰となり、対策を取らなければ滋賀県の宿泊客は大幅に減ると予測。その後の25年をメドに「宿泊施設の拡充や食事メニューの魅力向上などベースキャンプとしての受け入れ体制を整備するため、産官学で議論を進めるべきだ」(藤野滋・副代表幹事)とした。
このほか、健康に長生きできる社会を目指し、スポーツや健康作りに関わる産業の育成なども提案した。