【ワシントン=長沼亜紀】米連邦準備理事会(FRB)が13日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、総括判断で、2月後半以降の米経済活動は引き続き拡大したとの見方を示した。労働市場の改善が続き、賃金は上昇し、個人消費も堅調だったという。4月26~27日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の討論資料となる。
個人消費は大半の地区で緩やかに拡大し、小売業者は先行きに明るい見通しを持っているという。カンザス・シティー地区など4地区で非耐久財の製品・サービスへの消費が増えたほか、一部地区では家具など耐久財の消費も増加した。自動車販売は複数の地区で引き続き好調だった。
企業支出も全般的に拡大し、能力拡大のための投資を含め、多くの地区で資本投資が増えた。住宅市場も全体的に拡大した。
労働市場は引き続き力強さを増した。大半の地区で雇用は増加し、雇用減を報告したのはクリーブランド地区だけだった。製造業の雇用は、ボストン地区など3地区では増えた。エネルギー関連企業の人員削減は続いた。複数の地区が熟練、非熟練労働者の不足を指摘した。
賃金はアトランタ地区を除く全地区で上昇した。ボストンなど3地区が情報技術分野や建設・製造業の熟練労働者の賃金が大きく上昇したとした。人手が不足している分野の賃金上昇圧力が高まっているという。物価は大部分の地区で緩やかに上昇した。
海外需要の低迷とドル高の影響を受けている製造業は、多くの地区で拡大した。特に自動車、宇宙産業、コンピューター、電子機器などが好調だった。活動の低下を報告したのはクリーブランド地区とカンザス・シティ地区だけだった。石油・ガス生産はアトランタ地区など3地区で引き続き落ち込んだが、「低迷はまもなく終わる兆しが見られる」と報告した地区もあった。
同報告書は、4月7日までの情報に基づき、全米の12地区連銀が最新の経済動向をまとめた。