原発事業の巨額損失で経営難に陥った東芝を巡り、融資する銀行の間で足並みの乱れが出ている。2016年4~12月期決算発表を2度も延期し、損失拡大の可能性もあるためだ。大手銀行は変わらず支援する姿勢だが、一部の地方銀行では融資引き揚げの動きもあり、東芝は株式や土地を担保に差し出して融資継続を求めている。
特集:東芝の巨額損失問題
「これまでと変わらぬ支援を、なにとぞお願いします」。今月15日、前日に決算発表を延期したばかりの東芝は、都内の本社で取引金融機関を集めた説明会を開き、財務担当者が融資継続を求めた。メインバンクの三井住友銀行、みずほ銀、三井住友信託銀のほか、大手銀行や地方銀行、生命保険会社など約100の金融機関が集まった。
説明資料は前日の記者会見とほとんど同じだったが、大きく異なるのが、「資金繰り状況」と「御依頼事項」だ。
資金繰りは、現預金や融資枠を確保し、2017年度以降も1兆円超の手元資金が確保できると強調。「依頼」として、保有するグループ企業などの株式や、工場の敷地などを新たに担保に差し出し、融資を続けることを求めた。金融機関には3月末までの回答を要請した。
メインバンクの大手行は支援継続で一致したが、地銀などからは不満が漏れた。結局支援継続で一致できず、大手行が地銀などを説得することになった。