南米アルゼンチンの借金(債務)をめぐる問題で、米連邦高裁は13日、アルゼンチンの債務の返済を認める地裁の判断を支持した。米メディアが報じた。同国は2001年の財政破綻(はたん)以来、国際金融市場から事実上、しめ出されてきたが、これで約15年ぶりに国外で国債を発行する環境が整った。
財政破綻後、アルゼンチンは大半の投資家と借金の減額で合意したものの、一部の米投資ファンドなどが減額に応じず、14年に再びデフォルト状態となった。米国の裁判所が、アルゼンチンがファンドに全額返済しない限り、ほかの投資家への利払いを認めないとする差し止め命令を出したためだ。
状況を変えたのが、昨年12月の政権交代だ。反米路線を貫いたフェルナンデス前政権から、改革志向で親米のマクリ政権に交代。同国政府は今年2月、米投資ファンドに約47億ドル(約5100億円)を支払うことで合意した。合意を受け、米地裁が差し止め命令の解除を決め、高裁も今回支持した。
米メディアによると、アルゼンチンは来週にも、国外で最大で150億ドル(約1・6兆円)規模の国債を売り出すことを検討している。調達したお金は借金の返済などにあてる。返済の期日は14日で、一部の投資家は期日の延長に反対しているが、延長に応じるとみられる。プラットガイ財務相らは今週、米国を訪れ、投資家への国債の売り込みに回っている。(ワシントン=五十嵐大介)