東芝と富士通のパソコン事業と、ソニーから独立したVAIO(バイオ、長野県安曇野市)の統合交渉が、打ち切られる可能性が高まった。当面の期限を延長して交渉してきたが、統合後の戦略や生産拠点の統廃合をめぐって3社の意向が折り合わず、合意は非常に難しくなっている。
PC統合交渉3社、ブランド維持へ 工場リストラで難航
交渉では、VAIOの親会社の日本産業パートナーズ(東京)を中心に、東芝、富士通も出資する持ち株会社をつくり、傘下に3社の事業会社を置く枠組みが有力視されていた。東芝の「ダイナブック」、富士通の「FMV」、「VAIO」など3社が展開するブランドも残す方向だった。
統合が実現できれば、部品調達や開発、設計などを効率化でき、競争力が高まるとの考えがあったが、戦略の見直しを迫られることになりそうだ。
3社のパソコン事業の統合はもともと、不正会計問題を受けた東芝の経営再建の延長線上に浮上した。富士通も事業の採算が悪化しており、VAIOとも競争力の強化をめざす思惑が一致。昨年末ごろから交渉が本格的に始まっていた。