大涌谷駅付近の地図
神奈川県の箱根山火山防災協議会は15日、箱根町で火山活動のため運休していた箱根ロープウェイの区間のうち、姥子(うばこ)―大涌谷(おおわくだに)駅間の運行を許可すると発表した。23日から運行する。火山ガス濃度の低下をふまえた対応で、火山性地震が多発した昨年5月上旬からほぼ1年ぶりに、大涌谷に観光客が入る。
半径440~530メートルの警戒区域は今後も維持し、一般の人が車で大涌谷に入ることはできない。しかし、ロープウェイは各駅に救護室を設置したうえ、ゴンドラ内に酸素ボンベを常備するなどの安全対策を取り、運行される。駅舎とゴンドラ内の二酸化硫黄濃度が0・2ppmを超える場合は運行を取りやめる。大涌谷―早雲山(そううんざん)駅間の運休は継続する。
山口昇士町長は「大涌谷は箱根の観光でたいへん重要な位置にあり、ロープウェイの運行は大きな一歩だと思う」と述べた。
協議会は大涌谷の温泉池で、名物「黒たまご」を製造する作業を許可することも決定。町内の会社が今月下旬から製造し、大涌谷以外の町内で販売するという。
噴煙地の半径150メートル以内で温泉供給業者が保守作業することも、安全計画書の提出などを条件に許可することに決めた。最近の温泉供給量は通常の6割程度だったが、今後は増える見通しだ。(村野英一)