東芝と富士通、ソニーから独立したVAIOの3社によるパソコン事業の統合交渉が決裂し、白紙となったことが18日、わかった。パソコン市場の伸び悩みを背景に、統合後の成長戦略を描けないとの判断に至ったとみられる。各社はパソコン事業をめぐる戦略の練り直しを迫られる。
関係者によると、統合後の成長戦略を検討したところ、予想以上に生産台数の伸びが期待できず、部品の共通化などによるコスト削減効果が十分に得られないと判断したという。
これまでの交渉では、VAIOの親会社の投資ファンド、日本産業パートナーズ(JIP)を中心に、東芝、富士通も出資する持ち株会社の傘下に、3社の事業会社を置き、ブランドは維持する方向で検討されてきた。3社統合が実現すれば、国内シェアはNECレノボグループを抜いて首位になる見通しだった。
しかし、成長戦略の検討結果などを踏まえてJIPが離脱の意向を示したとみられる。東芝や富士通はパソコン事業の切り離しを模索していたが、持ち株会社の株式の大半を持つ予定だったJIPが手を引いたことで、交渉が行き詰まった模様だ。
今後、東芝と富士通は、パソコン事業の戦略の練り直しを迫られる。不正会計問題を受けて経営再建中の東芝は、採算が厳しいパソコン事業について他社への売却・統合を念頭に置いている。富士通も同様の事情を抱えており、両社は別の枠組みでの統合や海外メーカーへ売却などを模索することになりそうだ。
パソコンの3社統合は、昨年末ごろから交渉が本格化。当初は今年2月の基本合意をめざしていたが、交渉が難航し、当面の期限を6月に延長して、交渉を続けていた。