安倍内閣は26日、特定秘密保護法の運用状況について、年1回義務づけられている国会への報告内容を閣議決定した。同日中に衆参両院議長あてに報告する。2014年12月の同法施行後2回目で、前回より指定件数が61件増えた。一方で、衆院の「情報監視審査会」が求めた特定秘密のより具体的な件名は公表されなかった。
閣議決定された報告によると、特定秘密の累計指定件数は15年末時点で、防衛、外務両省など11機関443件(前年末比61件増)。暗号や情報収集衛星に関するものが多いという。特定秘密に関連する文書は16機関で27万2020点(同8万2827点増)だった。指定解除や期間延長、文書の破棄はなかった。
また、特定秘密を扱う公務員らへの適性評価は、9万6714人(防衛産業など民間の2248人を含む)に実施。適性評価を受けることに同意しなかった人は36人、途中で同意を取り下げた人は2人、不適性とされた人は1人だった。
一方、特定秘密の運用をチェックする衆院の「情報監視審査会」は3月30日、政府に対して、特定秘密の件名を具体的に示すよう求めたが、今回の国会報告では反映されなかった。審査会が公表した報告書では、審査会委員が特定秘密の件名「周辺有事に関する外国政府との協議内容」の「外国政府」を明らかにするよう求めたが、政府側は拒んだことが記されている。
内閣情報調査室は、今回の国会報告で具体的な件名が示されなかったことについて、「作業が間に合わなかった。経過説明をしながら、来年出す報告書で対応したい」としている。(山下龍一)