仏カトゥノム原発(奥)の閉鎖を求めるルクセンブルク。住民らは「大事故があったら我々も犠牲になる」と話す=16日、ルクセンブルク南部ビュールムランジュ、ソフィー・デュピュイ撮影
チェルノブイリでの史上最悪の原発事故から26日で30年となる。5年前には東京電力福島第一原発事故も起きた。世界の原発は今、どうなっているのか。将来はどこに向かうのか。
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特集:チェルノブイリ事故30年
■原発大国、フランスの不安
4月11日、ルクセンブルク。ベッテル首相は仏バルス首相との共同記者会見で語った。「仏カトゥノム原発の閉鎖を望む。重大事故があれば国が地図から消える」
菜の花畑の黄色が鮮やかな国境地帯から10キロほど先にある同原発は、出力130万キロワットの原子炉4基を備える。稼働は「チェルノブイリ」の1986年。2011年に東京電力福島第一原発の事故が起き、ルクセンブルク議会は翌12年、カトゥノムの閉鎖を求めて、政府に行動を促す決議を全会一致で採択した。
国境の村エムランジュに住む会社員シャンタル・ブゼンさん(50)は「人が言うほど危険を感じるわけではない」としつつ、「原発は古くなった。(運転し続けるなら)ルクセンブルクやドイツなど近隣国との合意が必要じゃないかな」。