警察が昨年1年間に逮捕など検挙した刑法犯22万318件(余罪を除く)のうち、防犯カメラなどの画像が容疑者を特定する主なきっかけとなったのは、1万2994件(5・9%)だった。警察庁がきっかけ別の年間の数を初めて集計し、19日発表した。
警察把握の刑法犯、戦後最少を更新 詐欺などは増加傾向
容疑者特定のきっかけは職務質問が4万5949件(20・9%)と最多で、参考人の取り調べが1万3614件(6・2%)、この後にカメラ画像が続いた。画像は防犯カメラのほか、ドライブレコーダーや捜査用のカメラなどを含む。カメラ画像による検挙の割合が高い犯罪は、ひったくりやすり、強盗、強制わいせつなどだった。
カメラが殺人など重要な事件を含めて容疑者割り出しの有力な手段となっている一方、カメラに頼り過ぎて裏付け捜査を怠った結果、誤認逮捕も各地の警察で起きている。大分県警が捜査用カメラを違法に設置した問題もあった。
警察庁のまとめでは、警察が設置した防犯カメラは、2008年が363台だったが年々増え、昨年3月現在で26都道府県に1530台。店舗や駅、住宅など民間が設置しているカメラの台数は100万台単位に上るとされている。
また同庁によると、昨年1年間の検挙率は、刑法犯全体で33・8%と前年より1・3ポイント伸びた。殺人や強盗などの「重要犯罪」で見ると4・3ポイント上昇の76・6%、「重要窃盗」は2・0ポイント増の54・6%と、いずれもやや改善したが、高い水準とは言えない。警察庁は「捜査の科学化や取り調べ技能の向上などをさらに進める」としている。(編集委員・吉田伸八)