水槽で仲良く並ぶエンペラーペンギンのカップル=名古屋港水族館提供
名古屋港水族館(名古屋市港区)のエンペラー(コウテイ)ペンギンたちが日々、トレーニングに励んでいる。朝夕、ウォーキングを欠かさない。なまった体を鍛え、交尾に備えているのだ。
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飼育員が小走りする。手にはペンギンの大好物のホッケ。それに釣られて6羽がばたばたと走る。水槽内を往復し、調子の良いときは50メートルほどになる。これを朝夕こなす。飼育員の材津陽介さん(33)は「足腰を鍛えるためです」。
ペンギンの繁殖数では、国内有数の実績を誇る同館。他のアデリー、ジェンツー、ヒゲペンギン3種は、これまで280羽ほどの繁殖に成功し、旭山動物園(北海道)やベルゲン水族館(ノルウェー)などにも送り出された。
しかし、1998年から飼育し、オス、メス各3羽の計6羽がいるエンペラーペンギンだけは成功していない。
南極でも人が近づきにくい場所に生息していることなどから、そもそも飼育数が少ない。同館の3種の中で1番少ないヒゲペンギンでも23羽いる。国内をみても、飼育しているのは同館も含めた2施設だけ。また、6羽の繁殖能力が高くないという事情もある。
水族館という環境も影響する。野生では、時には繁殖場所まで100キロ以上も歩く。だが、水族館での生活は運動量が圧倒的に少ない。足腰が弱っているのか、これまでも交尾しようとしたがオスがメスの背中から転げ落ちて、うまくいかなかったケースが何度かあったという。