国際間の法的な問題に対応する専従チームが法務省に発足した。これまで各省庁で対応してきた法律解釈を一本化することで、外国政府や企業との紛争を防いだり、有利に進めたりするのが目的だ。将来の環太平洋経済連携協定(TPP)の発効も見据えている。
同省の訟務局内に立ち上げたのは「国際裁判支援対策室」。国が当事者になる訴訟で代理人を務める「訟務検事」など、職員計9人が専従している。
設置のきっかけは、日本の調査捕鯨をめぐり、政府が2014年に国際司法裁判所で敗訴したことだ。日本政府は著名な国際法学者などを代表団に招き、「最良のチーム」で臨んだはずが、日本政府が示した捕獲枠について、反捕鯨国出身者が多い裁判官の間に反対意見が広がったという。「国際条約の解釈についての検討が甘く、主張立証が不十分だった」と法務省幹部は振り返る。結局、「実質的な商業捕鯨だ」とする反捕鯨国の主張に反論できず、判決は「科学的調査の目的のための捕鯨とはいえない」と結論づけた。