2日の東京外国為替市場の円相場は一時、1ドル=106円台前半となり、2014年10月以来、約1年6カ月ぶりの円高水準となった。日本銀行が追加の金融緩和を見送った直後から始まった円買いが、米国の利上げペースが鈍るとの観測にも後押しされて一段と進んでいる。
午後1時時点の対ドルは、3連休前の28日午後5時より1円85銭円高ドル安の1ドル=106円54~63銭。対ユーロは同79銭円高ユーロ安の1ユーロ=122円19~23銭。
28日に発表された米国の2016年1~3月期の実質国内総生産(GDP)が事前の予想を下回り、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げが当面は見込めないとの観測が強まって、ドルを売って円を買う動きが加速した。日銀の金融政策決定会合直前の水準に比べ、連休の間に一時5円以上も円高が進んだ。
米国が外国為替報告書で日本などの為替政策を監視すると明記したことも、円買いの動きを勢いづけている。5月下旬に主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)も控えて、「政府の為替介入は難しい」(大手銀行)との見方が強く、当面は円が買われやすい状況が続きそうだ。