国際通貨基金(IMF)は11日、世界の汚職に関する報告書を公表し、賄賂による損失が世界の国内総生産(GDP)の約2%にあたる1・5兆~2兆ドル(約160兆~220兆円)にのぼるとの試算を示した。汚職は「経済成長を深刻に阻害しうる」として、対応が急務だと警告した。
報告書は「汚職は納税者が税金を払う意欲を減退させ、徴税力を低下させる」と指摘。政府の機能をゆがめ、投資や生産性の低下につながるとした。
タックスヘイブン(租税回避地)と各国首脳らとの関係を暴いた「パナマ文書」は「世界的な金融の秘匿の規模に光を当てた」と言及。「汚職などの脱税は格差や不公平感を高め、国民の政府への信頼を弱める」として、政府の透明性や法整備の強化などを訴えた。12日にはロンドンで、「腐敗対策サミット」が開かれ、対策が話し合われる。(ワシントン=五十嵐大介)