自宅のある南阿蘇村からの通学が難しくなり、熊本市内の寮に移った佐々木久紗さん。リクルートスーツに身を包み、就職活動に出発した=11日午前、熊本市、遠藤真梨撮影
熊本地震で被災した熊本県内の大学生が、6月に迫る就職活動の選考解禁を前に奮闘している。困難を乗り越え企業の内定を目指す学生がいる一方、就活を休止して復興に一役買おうとする学生もいる。
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■橋も鉄道も不通
熊本学園大(熊本市)4年の佐々木久紗(ひさ)さん(22)は11日、企業の筆記試験に臨むため、リクルートスーツに身を包んだ。企業説明会や筆記試験の予定を書き込んだ手帳をかばんに入れ、気持ちを奮い立たせた。「これから本格的に始まる。やらなきゃいけないことはいっぱいある」。県内の金融系企業への就職を目指し、企業研究や筆記試験対策に追われる。
4月16日未明、熊本県南阿蘇村の自宅で就寝中に本震に襲われた。家は損壊を免れたが、村と熊本市内方面とを結ぶ阿蘇大橋が崩落し、通学で使っていた鉄道も不通になった。
2日後、大学の就職課の女性職員に電話で相談しながら、涙が止まらなかった。「就活なんてできない」。今後の生活や就活への不安で押しつぶされそうになった。
職員から「大学も全力でサポートする。今は自分の生活を一番に考えて。落ち着いてから就活のことを考えれば大丈夫」と言葉をかけられ、前向きになれた。
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