第3局を制した佐藤天彦八段=13日午後8時26分、鹿児島市新照院町、堀英治撮影
鹿児島市の城山観光ホテルで指されていた第74期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第3局は13日午後7時48分、挑戦者の佐藤天彦八段(28)が羽生善治名人(45)に76手で勝ち、対戦成績を2勝1敗とした。持ち時間各9時間のうち、残りは羽生名人50分、佐藤挑戦者8分。第4局は25、26日に広島県福山市で。
第3局をタイムラインで
後手番の佐藤挑戦者が、得意とする「横歩取り戦法」に誘導。互いに長考を繰り返す神経を使う戦いになったが、優位を築いた佐藤挑戦者が押し切った。
陣形を再整備した羽生名人の封じ手▲5八玉に対し、佐藤挑戦者は1時間28分考えて△2七歩と攻撃開始を決断。以下、悠長な攻めでは後れをとると判断した羽生名人が反撃し、互いの飛車と角を取り合う華々しいやりとりが繰り広げられた。
終盤、羽生名人の玉が上部に逃げ出したが、佐藤挑戦者は冷静に対処。最後は羽生名人の玉を包囲して、受けなしに追い込んだ。解説の木村一基八段は「羽生名人の作戦が不発に終わり、佐藤挑戦者が快勝しました。充実ぶりを感じさせました」と話した。(村瀬信也)
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佐藤挑戦者の話 封じ手の局面では、形勢は難しいと思っていた。はっきり良くなったと思ったのは、最後の最後だった。
羽生名人の話 △5四飛(34手目)に対して、いい手が見えなかった。ずっと悪いと思っていた。切り替えて次に臨みたい。