市内の保育所に就職してくれたら20万円渡します――。大阪市は今年夏から、待機児童対策として、保育士に対する給付制度を始める。必要な費用を盛り込んだ補正予算案を13日、市議会に提出した。経済的な支援を手厚くして働き手を確保したい考えで、全国的にも珍しい試みという。
大阪市は、就職準備金として、市内の民間の認可保育施設に就職する保育士に10万円を支給する。1年間勤めた時点でさらに10万円を渡す。職場で使うジャージーや文房具などの購入に充ててもらうことを想定。年度途中から始まる今年度は約50人の利用を見込む。2017年度から19年度までは約3億円の予算を計上し、年約700人の利用を想定している。
国は12年度から、就職する保育士が就職準備金として最大20万円を借りられ、5年以上勤務すれば返済が免除される事業を始めたが、大阪市の場合は、保育士に20万円を支給する点が異なる。大阪市と同様の給付制度としては、大阪府箕面市が昨年10月、開始した。生活支援の名目で、就職後3年間、月額2万円を支給している。
大阪市の待機児童は昨年10月時点で511人。厚生労働省の調査によると、保育士を養成する専門学校などの卒業生のうち、実際に保育所に就職した人は半数程度にとどまり、大阪市でも保育士の確保が課題となっている。(山中由睦)