退任後に捜査を受けた韓国大統領経験者 韓国の歴代大統領で検察から直接聴取を受けたのは全斗煥(チョンドゥファン)、盧泰愚(ノテウ)、盧武鉉(ノムヒョン)各氏に続き、朴氏で4人目となった。大統領の親族も含めれば、1987年の民主化以降、歴代全政権が検察の捜査対象になった。大統領が捜査機関や情報機関の人事を一手に握るため、これらの機関が政治権力化するという背景がある。 特集:揺れる韓国政界 与党関係者は「韓国大統領が影響力を行使できるポストは2万に上る」と語る。特に「ネイキッドパワー(むき出しの権力)」と呼ばれる検察庁、警察庁、国家情報院、監査院、国税庁のトップ全ての任命権を握る。大統領の出身地域や大学の同窓、似た政治色の人々が選ばれてきた。 国情院の元職員によれば、同院はかつて毎朝、大統領に政治や経済から芸能に至るまで、スキャンダルを含む様々なリポートを提出していた。財界関係筋によれば、国税庁は大統領の意向に逆らった企業に対し、税務調査をかけて横領や背任で告発した。検察はこうした人々を捜査し、圧力を行使してきた。 全斗煥、盧泰愚両氏の場合、文民政権として登場した金泳三(キムヨンサム)氏が過去の軍人政権の清算を図って「歴史立て直し」路線を提唱した結果、それぞれ無期懲役、懲役17年の刑を受けた。「人権派弁護士」と呼ばれた盧武鉉氏は退任後、政権が保守に代わってから検察の捜査を受け、自殺した。 朴氏は、国家情報院長を含むこうした権力機関トップと単独で面会することを好まなかったという。その結果、連絡役として検察や警察情報を統括する民情首席秘書官の力が増大。民情首席秘書官は「高官人事の身体検査」も担当するため、検察の力が相対的に強まったとされる。 逆に、こうした機関は自らの組織を守るために権力の移り変わりに敏感で、政権が任期終盤に求心力を失うと、次の権力に向けて走り出すと言われる。与党関係者の一人は「権力者から一番早く離れるのは、検察や国情院たち」と語る。 朴氏の場合、一連の疑惑の捜査をめぐり、検察と鋭く対立することになった。これまで検察側の度重なる要請にもかかわらず、「公平性が疑われる」と対面調査を拒むことになった。 黄教安(ファンギョアン))首相(大統領権限代行)が率いる韓国政府は今月、現職検事は退職後1年たたないと大統領府に勤務できず、勤務経験者は2年間は検事に復帰できないとする法改正を実施。検察の政治権力化に歯止めをかける試みだが、どこまで効果が上がるかは不透明だ。(ソウル=牧野愛博) |
政治化しやすい韓国検察 権力者から離れるのも早い?
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