葛西用水に沿って並ぶ桜の幹には、クビアカツヤカミキリの「指名手配」ポスターが張られていた=4月25日、埼玉県草加市、小坪遊撮影
今年も多くの人が楽しんだ花見が、できなくなるかもしれない。最近、海外から来た桜を食い荒らす害虫が分布を広げているからだ。専門家は「対策をとらないと、最悪の場合20~30年で花見ができなくなる」と指摘する。環境省などが対策に乗り出した。
埼玉県草加市の葛西用水の両岸の桜並木。ソメイヨシノの幹にはカミキリムシの写真付きで「指名手配」のポスターが張られ、「見つけたら踏み潰して下さい」とある。2013年夏、この場所で見つかった害虫「クビアカツヤカミキリ」だ。ポスターは翌年、地元の団体が張った。
中国や朝鮮半島などが原産地とされ、体長2・5~4センチ、光沢のある黒い体に赤い胸部が特徴だ。幼虫時代に桜や桃などの生木を食い荒らし、最悪の場合枯れさせてしまう。環境省の生態系被害防止外来種リストにも載っている。
並木近くの男性(75)は「一昨年は特に食い荒らしがひどかった。ヒゲにも模様があってきれいな虫だね」と話す。別の男性は「3年前に見つかったらしいけど、その前から元気のない桜はあった」という。