
キリンビールの布施孝之社長とノンアルコールビールの新商品「零ICHI(ゼロイチ)」=8日、東京都内



キリンビールは、ノンアルコールビールの新商品「零ICHI(ゼロイチ)」を4月11日に売り出す。2009年にアルコール分がゼロ%の新商品を売り出し、ノンアルビールの市場を広げたが、最近はシェアを落としている。今後も市場は拡大するとみて、新商品で回復を図る。
ゼロイチは定番ビールの「一番搾り」と同じ製法の麦汁(ばくじゅう)を使用。酵母でアルコール発酵させず、ホップや香料で「ビール感」を出した。
ノンアルビールは、アルコール分が1%未満の商品を指し、以前から販売されていたが、飲酒運転の厳罰化などを受け、09年にキリンがアルコール分がゼロ%の「キリンフリー」を発売。他社も追随して市場が拡大した。各社の推計では、16年の販売量は約1770万ケース(1ケースは大瓶20本換算)で、09年の3倍超だ。
今後も需要増が見込まれ、収益につながるため、各社は販売に力を入れている。ただ、市場を広げたキリンのシェアは、09年の8割から16年には1割に落ちた。後発のサントリー「オールフリー」、アサヒビール「ドライゼロ」に抜かれ、差が広がっている。キリンはゼロイチの発売で巻き返し、20年のシェア3割を目指す。(和気真也)