政府は中東の難民支援策の一環として、内戦が続くシリアの難民のうち、留学生として2017年から5年間で最大150人の若者を受け入れることを決めた。20日に安倍晋三首相が正式表明する。
日本政府関係者によると、受け入れ対象は内戦や過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭により、就学機会を奪われたシリアの若者たち。将来のシリア復興を担う人材を育成する狙いがある。国際協力機構(JICA)による技術協力制度を活用し、1年当たり20人を受け入れる。また、すでに文部科学省が実施している国費外国人留学生制度も1年当たり5人の枠を10人まで拡大し、合わせて5年間で最大150人を受け入れる方針だ。
JICAの枠は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との協定で行い、留学生の選考はUNHCRが担当。初年はヨルダンやレバノンに滞在するシリア難民が対象となる見通し。
日本はこれまで、難民認定基準が他の主要国と比べて厳しいとされてきた。26、27日に予定される主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)で難民対策が主要議題の一つとなることから、日本政府の姿勢を示すために打ち出すものとみられる。(武田肇)