「ファブリックの女王」(C)Bufo Ltd 2015
カラフルで大胆なデザインのプリントで知られる北欧の人気ブランド「マリメッコ」。創業者のアルミ・ラティアの人生を描いた「ファブリックの女王」が公開される。アルミの友人でかつてマリメッコの役員でもあったヨールン・ドンネル監督が長年構想を温めていた作品だ。
アルミは1912年にフィンランドで生まれた。51年にマリメッコを設立し、才能ある若手デザイナーを次々に起用して世界的な企業に成長させた。79年に死去したが、今でもブランドの精神的支柱だ。
アルミを直接知る監督は「彼女はビジネスでの立ち回りがうまく、日本人とも渡り合っていた。一方で情に厚すぎて経営的なミスを何度もしている。理性と感情が同居する人だった」と振り返る。男性中心のビジネス界で闘い続け、事業にのめり込むあまり、家族と距離ができる。映画では寂しさを埋めるため、酒や男性におぼれる様子も描かれる。「今も男女は完全には平等でない。だから女性の社会進出の先駆者であるアルミを通じて表現したかった」
劇中劇のスタイルをとり、アルミの時代と現在のデザインを融合させた。「彼女に関する本が何冊も書かれている。だが映画で彼女をどう表現するかを考えた時に、お決まりの伝記ではだめだと思った」と監督。歴代のデザインがプリントされた衣装も多数登場し、ファッションショーをみているような気分になれる。
28日から大阪のシネ・リーブル梅田で。6月には京都みなみ会館と神戸の元町映画館で公開される。
ドレスやスケッチなどを展示した「マリメッコ展」が島根県立石見美術館で開催中。7月11日まで。10~11月は兵庫県西宮市の大谷記念美術館で。その後東京や新潟などを巡回予定。(伊藤恵里奈)