千葉市中央区の石郷岡病院で2012年、精神科に入院していた男性患者(当時33)に暴行し、その時のけがが原因で2年後に死亡させたとして、傷害致死罪に問われた当時の准看護師2人に対する裁判員裁判の判決が14日、千葉地裁であった。高橋康明裁判長は田中清被告(67)=千葉県市川市=について「暴行は認められず、共謀もない」として無罪(求刑懲役8年)を言い渡した。
菅原巧被告(63)=千葉市若葉区=については「被害者が突然伸ばした左足が自分にあたったことに腹を立て、頭を1回蹴った」と認定。ただ、死因との因果関係は立証されておらず、暴行罪にとどまると判断し、罰金30万円(同)を言い渡した。
2人は12年1月、同病院の保護室で男性の顔を数回踏みつけたり、ひざで首を押さえつけたりして頸髄(けいずい)損傷などのけがを負わせ、そのけがを原因とする肺炎で14年4月に死亡させたとして起訴された。
公判で検察側は2人の行為を「看護とかけ離れたもの」と主張したが、判決は「被害者にズボンをはかせる目的だった」と退けた上で、菅原被告については、天井に設置されていたカメラの映像などから、看護行為の中で頭を蹴ったと認定した。(滝口信之)