愛媛県西条市の加茂川で2012年7月、川遊び中の園児(当時5歳)が流されて死亡した事故で、天候の確認などを怠ったとして、業務上過失致死傷罪に問われた「西条聖マリア幼稚園」(同市大町)の元園長、近藤恵津子被告(75)に対する判決公判が30日、松山地裁であった。日野浩一郎裁判長は近藤被告に罰金50万円(求刑罰金100万円)を言い渡した。
亡くなったのは吉川慎之介ちゃん(当時5)。起訴状によると、近藤被告は12年7月20日、加茂川の上流で断続的に降雨があったことなどから増水を予見できたにもかかわらず、園児らに川遊びをさせていた。その際、天候の確認のほか、ライフジャケットや浮輪など救命具の準備を怠ったため、慎之介ちゃんは増水した川に流されて水死し、他の園児2人がけがをした。この日は宿泊保育中だったという。
公判で検察側は「危機管理に対する意識の低さが背景にあり、人災としての要素が大きく、過失責任は重大」と主張。これに対し、弁護側は「晴れている中、濁流が押し寄せるとは誰も予想できなかった」と無罪を主張していた。