覚醒剤取締法違反の罪に問われた元プロ野球選手・清原和博被告の判決公判の傍聴券を求めて、列に並ぶ人たち=31日午前9時25分、東京都千代田区の日比谷公園、竹花徹朗撮影
覚醒剤取締法違反の罪に問われた元プロ野球選手・清原和博被告(48)に対し、東京地裁は31日午後、懲役2年6カ月執行猶予4年(求刑懲役2年6カ月)の有罪判決を言い渡した。吉戒純一裁判官は「被告の覚醒剤に対する常習性は強く、犯情は悪質」と批判。一方で「甲子園球場を沸かせ、プロ野球を代表する打者として活躍するなど、野球界で社会的貢献をしてきたが、厳しい社会的制裁を受けている」ことなどを、執行猶予を付けた理由として挙げた。
清原和博被告への判決要旨
清原和博被告に懲役2年6カ月求刑 「薬物に負けた」
特集:清原和博被告
判決によると、清原被告は昨年9月に群馬県太田市内のホテルで覚醒剤約1・2グラムを8万円で譲り受けたほか、今年2月には東京都港区のホテルで覚醒剤を使用し、同区の自宅で覚醒剤約0・2グラムを所持していた。
判決の言い渡し後、吉戒裁判官は「覚醒剤をやめるのは容易ではないですが、あなたは決して1人ではありません。お父さんや親戚、全国の根強いファンが更生を望んでいることを忘れないで下さい。息子さんたちのためにも覚醒剤をやめ、人の役に立つ存在になることを期待しています」と説諭した。
地裁は、17日の初公判と同様に近くの日比谷公園で傍聴券の抽選を実施。判決を見届けようと、朝から多くの傍聴希望者が訪れた。一般傍聴席21席に対し、1713人の希望者が列をつくり、倍率は82倍だった。
初公判で清原被告は、覚醒剤を始めた時期について「(2008年の)現役引退後すぐに使い始めた」と説明。「現役時代はストレスや不安を野球で解決できたが、引退後は解決方法をなくし、薬物に負けた」などと語り、今後については「(将来的には)心も体も万全な態勢にして、野球に向き合いたい」と、涙を流しながら語った。
一方で、覚醒剤を使い始めたきっかけや購入の頻度などについては「覚えていません」などと繰り返し、詳しい説明を避けた。
検察側は「常習性が顕著。使用が生活の一部になっており、再犯の可能性は高い」と主張。弁護側は「被告は真摯(しんし)に反省しており、再犯のおそれはない。早期に社会内での更生が図られる必要がある」と訴え、保護観察付きの執行猶予判決を求めていた。(塩入彩)