国会会期末を受け、記者会見する安倍晋三首相=1日午後6時25分、首相官邸、飯塚晋一撮影
安倍晋三首相は1日、国会会期末を受けて首相官邸で記者会見し、来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを2019年10月まで2年半再延期することを正式に表明した。夏の参院選は6月22日公示、7月10日投開票とする方針も示し、増税先送りの判断について参院選で国民の信を問うとした。参院選日程は2日に閣議決定される方向で、選挙戦では首相が会見で表明した内容の是非が問われそうだ。
首相は会見で消費増税の再延期を判断した理由について、当初から延期するケースとして挙げていたリーマン・ショック級の事態は発生していないとする一方、「新興国や途上国の経済が落ち込んでおり、世界経済が大きなリスクに直面している」と説明した。首相は14年11月に増税を延期した際、「再び延期することはない」と明言しており、今回の判断と自らの言葉の整合性について「公約違反ではないかとの批判があることも真摯(しんし)に受け止めている」と語った。
その上で、再延期の判断は「これまでの約束とは異なる新しい判断だ」と位置づけ、7月10日投開票の参院選で「国民の信を問いたい」と訴えた。
首相は延期幅を19年10月までの2年半としたことについて、「20年度の財政健全化目標はしっかり堅持する。そのためのぎりぎりのタイミングだ」と指摘。政府が掲げる20年度までに「基礎的財政収支」を黒字化する目標を堅持するとした。首相の自民党総裁としての任期は18年9月まで。総裁任期後に再増税のタイミングを設けたことに野党などから「無責任」との批判が上がるが、首相は「国民にとって大きな影響があるのは経済だ。間違えればまたデフレに戻る。総裁任期によって判断をゆがめてはならない」と強調した。