徳山ダム(岐阜県揖斐川町)の水を長良川と木曽川へ引く導水路事業をめぐり、愛知県の住民グループが公金支出差し止めを愛知県知事らに求めた訴訟の上告審で、住民側の敗訴が確定した。最高裁第三小法廷(大橋正春裁判長)が5月31日付の決定で、住民側の上告を棄却した。
事業は、木曽川水系(木曽川、長良川、揖斐川)流域の生活用水確保や渇水時の河川環境維持のため、徳山ダムから水を引く計画。住民側は、事業費890億円のうち、県が負担する318億円の支出の差し止めを求めていた。
昨年9月の二審・名古屋高裁判決は、木曽川水系流域の人口が減少傾向にはないと指摘。「長期的に安定した給水の必要性から、安全性を考慮し、余裕を持った想定需要を設けることは許容される」と述べ、「水の需要は減少傾向で、渇水時も既存の水源でまかなえる」とする住民側の主張を退けた。