亀山紘・石巻市長の上告理由を傍聴席から聞く大川小津波訴訟の原告遺族たち=2018年5月8日午後、宮城県石巻市、福留庸友撮影
東日本大震災の津波で84人が犠牲となった宮城県石巻市立大川小学校の避難誘導などを巡る訴訟で、石巻市議会は8日、市と県に約14億4千万円の賠償を命じた仙台高裁判決を不服として、最高裁への上告を承認する議案を賛成多数で可決した。市は9日にも上告の手続きを取る方針で、これを受け県も上告を決めた。
亀山紘市長は議案説明で、津波を十分に予見できたと判断した高裁判決について「専門家でも困難で、それを校長らが予見することは不可能を強いるに等しい」と批判。校長らが津波のハザードマップの信頼性を独自の立場から検討すべきだったという判断も、「ほかの津波訴訟の高裁判断と異なる」と指摘した。
議員からは「全国の学校防災の充実強化につなげるために最高裁の判断を仰ぐべきだ」とする意見の一方、「市民の間に対立を生む裁判を続けるべきではない」と反対の声も上がった。起立採決の結果は、上告に賛成の議員が16人、反対が12人だった。亀山市長は閉会後、村井嘉浩知事を訪ね、上告の意思を正式に伝えた。
4月26日の高裁判決は、津波…