生徒会役員選挙の投票箱を開け、開票作業をする選挙管理委員会の生徒たち=2日午後、奈良県橿原市、上田潤撮影(投票用紙の名前にモザイクをかけています)
18、19歳が初めて投票できるようになる参院選を前に、全国の高校で選挙を考える取り組みが広がっている。選挙管理委員会による「出前授業」の実施校数は昨年度、前年度の16倍にのぼったが、授業で「政治的中立」をどう保つか、悩む教員もいる。一方、生徒に政治活動への参加を届け出させる学校もあり、萎縮を生むのでは、と懸念する声もある。
18歳選挙権
「自動販売機の飲料と購買のパンを値下げします」「女子生徒の髪飾りを自由化します」――。奈良県立橿原高校で2日にあった生徒会役員選挙。会長、副会長の候補者は体育館で公約を懸命に訴えた。
投票箱や票の計数機などは、橿原市選管が貸し出した「本物」を使用。3年の山井沙耶さん(18)は「投票箱がリアルで、選挙の重みを実感しました」と話した。
1日に誕生日を迎えたばかり。家族に「成人と同じなんやで」と言われ、心を弾ませた。「看護師をめざしているので、年金や介護に関心がある。いろいろ調べて、初めての選挙に臨みたい」
開票作業も生徒が担った。11日に誕生日を迎える3年の藤井華実さん(17)は、候補者名が間違った票を見つけた。「有効か無効か迷いました。1票の間違いで結果が変わることもあるので緊張しました」。だれの名前か判断できれば、有効票になることも知った。
副会長選は、あるはずの投票数より少なかった。選挙管理委員長を務めた3年の串領馬さん(17)は「選挙を甘くみている人がいるのかな」と語った。
同校の試みは、市選管が2013年に実施した選挙の仕組みや大切さを教える「出前講座」がきっかけ。総務省によると、同様の出前授業は昨年度、1149校で実施され、前年度の16倍にのぼった。