米国のフリン前大統領補佐官が、昨年の大統領選の運動期間中にトルコ政府と関係が近いトルコ系企業から53万ドル(約6100万円)の報酬を受けて調査活動をしていたことがわかった。ニューヨーク・タイムズ紙などが10日に伝えた。
フリン氏は就任前に駐米ロシア大使と対ロ制裁について協議していたとして、2月に辞任に追い込まれた。トランプ政権と特定の外国政府との関係が再び問題視される可能性がある。
同紙などによると、フリン氏とトルコ系企業の契約は昨年8月。この企業は、エルドアン大統領と親交があるトルコ系経済団体代表が所有している。
調査内容は、在米のイスラム教指導者ギュレン師について。トルコはギュレン師が昨年7月のクーデター未遂の首謀者として米国に引き渡しを求めていたが、オバマ前政権は証拠を求め、慎重姿勢を示していた。調査期間中、フリン氏はトルコの外相など閣僚とも面会していたという。フリン氏は昨年11月、米メディアへの寄稿でトルコを称賛し、ギュレン師をイスラム過激派だとしていた。
同紙などによると、米国では、外国機関の代理人として活動する場合、司法省に届け出て登録する必要があり、故意に届けなかった場合は罰則もある。フリン氏の弁護士は、トランプ氏の就任前に政権移行チームに相談したが、登録はしていなかった。今月になって、フリン氏側は「潜在的な疑いを避けるため」として登録。当初登録していなかった理由を、契約先が外国政府ではなかったためと主張しているという。
ホワイトハウスのスパイサー報道官は10日、「ビジネスの問題だ」とし、登録はフリン氏個人の問題とした。トランプ氏はフリン氏の活動を認識していなかったと主張した。(ワシントン=杉山正)