長野県北部地震の被災者と懇談する天皇、皇后両陛下=5日、長野市、迫和義撮影
天皇、皇后両陛下は5日、長野市内で第67回全国植樹祭の式典に出席した。また、2011年3月に起きた長野県北部地震の被災者と懇談し、対面を望んでいた両陛下はねぎらいの言葉をかけた。
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両陛下は、長野市内の宿泊先で被災者5人と約30分懇談。被災した栄村の森川浩市村長が、村の復旧がほぼ完了したことを伝えると、天皇陛下は「良かったですね」と応じた。
地震で火災がなかったことについて、消防団長の斉藤真吾さん(61)は、阪神大震災の火災を踏まえて団員にブレーカーを落とすよう指示していたことを紹介。天皇陛下は「過去の蓄積を生かしていくことが大事ですね」と話した。
懇談の最後に天皇陛下は「今回の災害を生かしてより良い地域、安全性が増す地域になっていくことを願っています」と語った。皇后さまは栄村の名前にちなみ、「栄えてね」とユーモアを交えて締めくくった。
地震は東日本大震災の翌日に発生。両陛下は地震翌年の12年7月、栄村を日帰りで訪れ、仮設住宅で暮らす被災者をお見舞いした。懇談後、農業の島田哲さん(67)は「栄村は『忘れられた被災地』という感じもあったが、両陛下に今でもこうして寄り添って頂き、感謝申し上げたい」と話した。
5日は長野市のエムウェーブで開かれた第67回全国植樹祭の式典に出席。天皇陛下はヒノキやコウヤマキ、皇后さまはシナノキやミズメなどの苗木を植えた。植林プロジェクトに取り組む歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが「延年の舞」を披露した。(多田晃子)