宮城県議会の安部孝議長(60)が8日、議長職の辞任を表明した。政務活動費(政活費)を自宅の水道代などに充てた不明朗な支出への批判が続いていた。
安部氏の政活費を巡っては市民団体が、仙台市の6階建ての自宅に置いた事務所の賃料や光熱費、県政報告会の会場費など、過去6年余りの計約1186万円の支出が不適切だと指摘し、今年2月以降、住民監査請求をしたり詐欺罪で告発したりした。自宅は、元々同居していて今年結婚した妻とその親族の名義で、賃料は妻らに払われていた。
市民団体は事務所としての実態がないうえ、賃料の支出は政活費の指針で不適切とされる、生計を一にする親族への支出だと指摘。県政報告会は政務ではなく後援会活動で、会場は居酒屋など飲食店が多く、事実上の飲食費だったとした。
県監査委員は4月、事務所のガス・水道代約42万円は「不当利得」と認定。安部氏はこれを含む約900万円を県に返還したが、理由を「問題を長期化させないため」と説明。ほかの支出は「適正に処理した」と主張している。
安部氏が所属する自民党県連内でも、自民と民進の現職が事実上、一騎打ちとなる22日公示の参院選宮城選挙区(改選数1)への影響などから辞任を求める声が強まったが、安部氏は5月以降、「(15日開会の)6月定例県議会までに出処進退を明らかにする」と繰り返していた。
政活費を巡る不正では、元兵庫県議の野々村竜太郎被告(49)が900万円余りをだまし取ったとして今年4月、詐欺罪などで懲役3年を求刑された。(森治文)