「あしたのための声明書」
安全保障関連法が施行されてから2カ月が過ぎた。昨年の夏、議論が深まらないまま成立を急ぐ政権に疑問を投げかけた「自由と平和のための京大有志の会」の声明書。成立後につづられた二つ目のメッセージへの共感が今、じわりと広がっている。
学問は権力の下僕ではない…京大有志の声明、共感広がる
特集:安保法制
■フェイスブック「いいね!」3万件
「自由と平和のための京大有志の会」は安保法が国会で審議されていた昨年7月、11人の教員と学生グループが集まって立ち上げられた。「戦争の愚かさや平和、自由の大切さについて『市民目線』で考えていければ」。こう考えた藤原辰史(たつし)さん(39)=人文科学研究所准教授=が草稿を書いたのが「戦争は、防衛を名目に始まる」で書き出した声明書だった。
声明書はインターネットや口コミで広がっていき、賛同する人たちが急増。フェイスブックで賛意を示す「いいね!」は最大3万件に達した。背景には、憲法学者らから「集団的自衛権の行使を認める安保法案は憲法違反」との指摘を受けながら、成立に向けて突き進む安倍政権への不満や疑念があった。
だが、安保法は声明書ができてから約2カ月後の昨年9月19日に成立した。
あきらめてはいけない――。京大有志の会はその日のうちに、藤原さんが草案をまとめた「あしたのための声明書」をホームページで公開した。