三井住友銀行は15日、秋田県の農業法人などと新会社を設立し、米の生産を始めると発表した。農業分野は、政府の農業改革で今後農地の集約化や大型化が進むとみられる。三井住友銀は新たな資金需要が出ると見込み、自ら農業に参入して、貸し出しの増加などにつなげる狙いがある。
新会社は自ら農地を保有して農業を手がけることができる「農地所有適格法人」。7月に秋田県大潟村の「大潟村あきたこまち生産者協会」が過半を出資して設立する。三井住友銀は5%の株式をもち、秋田銀行やNECキャピタルソリューションも出資する。
今秋から人手が足りない農家から刈り取りや精米を請け負い、来年からは田んぼを借りて本格的な米の生産に乗り出す。秋田での事業が軌道に乗れば、米づくりが盛んな他県にも広げていく。
4月の改正農地法の施行で、農地を所有できる法人の要件が緩和され、銀行なども農業を手がける法人に出資できるようになった。こうした環境変化のもとで三井住友銀は農業を「成長分野」と位置づけており、新たな融資の機会が出てくるとみて力を入れる方針だ。(久保智)