舛添都知事の問題・疑惑をめぐる発言の変遷
一連の公私混同問題が浮上して3カ月。東京都の舛添要一知事が15日、都議会で辞職を表明した。「遅すぎた退場」に知人は落胆し、前任の猪瀬直樹氏に続く「政治とカネ」での任期途中の辞職に、都民は嘆きの声をあげた。
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舛添都知事が辞職願
15日午後8時すぎ。約100人が傍聴する都議会で、舛添氏は手元の紙に目を落としながら語り出した。「任期の途中でこのような形となり、反省と心残りの念は尽きませんが、すべて自らの不徳の致すところであります」
時折、声が震える。保育や防災政策などを挙げ、「一定の成果もあった」と自負をのぞかせる一方、辞職に抵抗してきたことを「リオ五輪や東京五輪に影響を与える事態を避けたいと思った」と弁明。「これ以上都政の停滞を長引かせることは耐えがたい。私が身を引くことが一番だと考えるに至った」と述べた。
あいさつを終えて一礼すると、議場にまばらな拍手が響いた。
その10時間前。報道陣が待ち構える都議会議長室に、舛添氏の辞職願を持ち込んだのは都職員だった。「諸般の事情に鑑み退職したい」――。A4サイズの1枚紙に印字された文字。舛添氏自筆の署名が書かれていた。
都民の怒りを背に、決断に追い込んだのは都議会だった。都議会自民党は15日未明まで不信任案を協議。同党の議員らは14日夜、いったん都庁を出た舛添氏を呼び戻し、辞めるよう説得したという。
辞職の受け入れを決める議会運営委員会理事会の前、都議会自民党の野村有信都議は漏らした。「残念ですよ、猪瀬さん舛添さんと続いてね」。都議会民進党の尾崎大介幹事長は「こんな問題に時間をかけなければいけないという忸怩(じくじ)たる思いがあった」と嘆いた。
都議会公明党の長橋桂一幹事長は「わが党の辞職要求を踏まえて決断された」。共産党都議団の大山とも子幹事長は「事実を伏して知事が辞めればいいというものではない。百条委員会を設置して真相究明をするのが都議会の責任だ」と話した。
舛添氏のあいさつを傍聴席で聞いた東京都中野区の会社員、熊代英彦さん(36)は「最後まで納得のいく説明は知事から聞けなかった。都民が置き去りにされている感じがした。政治とカネの問題で、2人連続して知事が任期途中で辞めている。都民として情けない」と話した。新宿区の自営業、榎園和昭さん(42)は「潔く謝ってほしかった」と話した。