ユガさん(右)が働くロンドン中心部のカフェ。従業員のほとんどが英国以外のEU市民だ=25日、山尾有紀恵撮影
英国では、欧州連合(EU)からの離脱が決まった翌日も動揺が続いた。世界中から人が集まる都市部では、移動の自由が制限され、労働や教育の機会が減ることへの不安の声が相次ぐ。仕事で輸出入のコストが上がることを心配する声も出ている。
特集:イギリス、EU離脱へ
「これまでは自由に働けたけど、(離脱交渉の期間が終わる)2年後からどうなるのか分からない。子どもたちの教育もあるから、とどまるつもりだけど」。エスプレッソの香りが漂うロンドン中心部のイタリアンカフェ。EUからの「離脱」決定から一夜明けた25日、ウェートレスとして働くルーマニア出身のアイオネラ・ユガさん(35)は、心配そうに話した。
2007年にルーマニアがEUに加盟した後、ロンドンで働くことを決めた。カフェのオーナーはエジプト人で、従業員のほとんどがポルトガルやポーランドなどEU諸国からの「出稼ぎ組」だ。「ルーマニアでは働いても月300ポンド(約4万2千円)がせいぜい。ここでは月1400ポンド。生活費は高いが、それでもこちらのほうがいい」と話す。ルーマニア人の夫との間にロンドンで2人の子どもが生まれ、母国に戻るつもりはない。英国籍取得のテストを受けるべく、準備するつもりだ。
国際都市のロンドンには、世界中から学生や労働者が集まる。とりわけEU市民にとって、英国の教育レベルや生活水準の高さは魅力で、旅行先としても人気だ。英国のEU離脱で、就労や教育目的の自由な滞在は不可能になり、ビザ取得などの手続きが必要になる可能性が高い。