新空港を巡る政府決定の翌22日、政府に抗議し、白紙の1面を掲載した大邱を基盤とする韓国・毎日新聞。白抜きで「新空港白紙化。政府は地方を捨てた」と書き込んだ=同紙のホームページから
韓国の朴槿恵(パククネ)政権に、内政の新たな課題が次々と降りかかっている。4月の総選挙敗北を受けて、朴政権が推進する教科書の国定化に逆風が強まる。支持基盤の南東部では新空港誘致をめぐるあつれきが起き、朴大統領の更なる求心力の低下は避けられない情勢だ。
野党の「共に民主党」と「国民の党」は17日、共同で中学・高校の歴史教科書の国定化を阻む法案を国会に出した。両党の議席を合わせると国会の過半数を占める。
朴政権は、現在の教科書の記述が北朝鮮寄りだとして問題視。来年から検定制を国定にする方針だが、教育現場では、国定教科書は政権に都合の良い内容になりかねないなどとして、執筆拒否を表明する大学教授らも相次いでいる。
21日には国土交通省が釜山近郊の金海空港の代替空港建設について「同空港の拡充で対応」とした諮問機関の結論を受け入れる考えを示した。代替空港を巡っては、いずれも政権の支持基盤で保守色が強い釜山市や大邱市が誘致運動を展開。大邱の地元紙は翌22日付朝刊で、決定に抗議して1面を白紙にした新聞を発行した。今後も決定に不満を持つ勢力が政権批判を展開する事態が予想される。
与党セヌリ党は23日までに、4月の総選挙の際に同党を離党して無所属で当選した7議員全員の復党申請を承認した。7人は政権と距離を置いており、8月の党大会で「非朴槿恵系」の執行部が誕生する可能性が高まった。
韓国の調査会社リアルメーターによれば、17日現在の朴大統領の支持率は36・7%。昨秋に50%を超えたが、総選挙後はおおむね30%台にとどまっている。(ソウル=牧野愛博)