東京電力福島第一原発事故で炉心溶融の公表が遅れた問題で、東電の第三者検証委員会は28日、経緯の調査を求めていた新潟県の技術委員会に「当時の社長が炉心溶融という言葉を使わないよう社内に指示していた」などとする調査結果を報告した。県技術委の立石雅昭委員(新潟大名誉教授)は、事故から2カ月間、炉心溶融を認めなかった経緯の検証が不十分だとし、「疑問に答えておらず、国民を愚弄(ぐろう)するものだ」と批判した。
報告書は元社長の指示について「官邸側から要請を受けたと理解していたと推認される」と指摘するが、第三者委は当時の官邸関係者から聞き取りを行わなかった。そのことについて県技術委は「(東電と)官邸がどのような関係にあったかは調べなければならない問題だ」などと批判。それに対し、第三者委の田中康久委員長は「東電で聞き取れる範囲でなにか出てくれば、調べるつもりだった」と弁明するにとどめた。
第三者委が「官邸側の要請」と指摘したことについて、菅直人元首相らは「指示したことはない」と否定している。
第三者委が検証しきれなかった問題については、今後、県と東電が新たにつくった合同検証委員会が検証する予定だ。