「天竜峡」の岩場に打ち込まれたロッククライミング用くさび=長野県飯田市、市提供
名勝や天然記念物になっている各地の岩場で、ロッククライミング用に打ち込まれたとみられる金具が相次ぎ見つかっている。文化庁などは文化財保護法違反などの疑いもあるとして調べており、競技団体も注意喚起を始めた。
国の名勝「天竜峡」に指定されている長野県飯田市の天竜川沿いの岩場で3月、少なくとも63本のロッククライミング用くさびが見つかった。右岸の断崖の高さ10メートル以上、幅約10メートルの範囲に及び、市教委は文化庁へ毀損(きそん)届を提出した。岩場は花崗(かこう)岩でできており、担当者は「撤去することで岩場をさらに傷つける恐れもある。国民共有の財産を損ねる行為で遺憾だ」と話す。
天竜峡は天竜奥三河国定公園(長野、愛知、静岡県)に属し、天竜川の浸食作用でできた奇岩や断崖、樹木などによる景観が特徴。1934年に国の名勝に指定された。
岐阜県御嵩(みたけ)町にある国の名勝で天然記念物の巨石群「鬼岩」でも5月下旬、高さ約30メートルの岩の中腹に、ハーケン2本が打ち込まれているのが見つかった。町が今月14日に問題を発表した後、「自分がやった」と話す人物が県警可児署に申し出た。署は文化財保護法違反などの疑いで任意で捜査する方針。