京都府警宇治署が2013年に道路交通法違反(酒気帯び運転)容疑で50代の男性を摘発した際、署員がうその捜査資料を作成した疑いがあることが府警への取材でわかった。府警は虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで当時の署員から事情を聴いており、処分とともに刑事事件として立件するかどうか検討している。
男性は13年8月10日夜、宇治市内を酒気帯び状態で軽乗用車を運転したとして道交法違反容疑で摘発された。府警によると、宇治署員は「男性が居酒屋から出てきた」とする110番通報にもとづいて男性の車を止め、職務質問した。しかし、捜査報告書には「検問によって摘発した」とうそを書いていた。
男性は同法違反罪で在宅起訴されたが、今年2月、京都地裁は無罪判決を言い渡した。判決は呼気検査で基準値(0・15ミリグラム)を超えるアルコールが検出されたと認めた一方、体にアルコールが残っていることを男性が認識していなかった可能性があると判断した。捜査報告書の虚偽作成は、京都地検が控訴審に向けて男性の飲酒状況を精査する中で判明したという。
宇治署員は通報にもとづいて職務質問した経緯を伏せることで、書類作成の作業を省こうとしたとみられる。府警監察官室は「調査結果を踏まえ、厳正に対処する」としている。