熊本県益城町では道路が冠水。側溝からは水が噴き出していた=29日午前10時46分、長沢幹城撮影
九州付近に停滞する梅雨前線の影響で29日、九州各地で非常に激しい雨が降った。30日にかけて断続的に激しい雨が続く見込みで、気象庁は土砂災害や浸水、河川の増水への警戒を呼びかけている。
鹿児島県鹿屋市で午前7時20分までの1時間に61・5ミリの降水量を観測したほか、各地の1時間降水量は、熊本県山都町61ミリ、長崎県西海市46ミリ、大分県由布市44・5ミリなど。27日朝の降り始めから29日午前11時までの降水量は、宮崎県えびの市で399ミリ、鹿児島県霧島市で386・5ミリに上った。
同県垂水市は午前9時、38世帯70人に避難指示を出した。熊本県内では午前11時現在、南阿蘇村や上天草市など4市町村で計2354世帯(5566人)に避難指示が出ている。
熊本県上天草市松島町では午前10時50分ごろ、住宅の裏山の土砂が流れ込んだと住民から110番通報があった。土砂は家屋の壁まで達したが倒壊はしなかった。午前11時15分ごろには同県八代市東町川床で道路が冠水していると119番通報があった。八代広域消防本部によると、水無川が氾濫(はんらん)して道路が冠水。軽トラックの中に女性が取り残されたが、救助された。
JR九州によると、大雨の影響で正午過ぎまでの約2時間、九州新幹線の熊本―鹿児島中央間で運転を見合わせた。鹿児島県では在来線も指宿枕崎線や鹿児島線の一部区間などで始発から運転を見合わせた。九州道も同県内の一部で通行止めになった。
九州では、30日正午までの24時間雨量は、多いところで200ミリと予想され、局地的に1時間に80ミリの猛烈な雨が降るおそれがあるという。