IHジャー炊飯器の新製品
東芝は30日、洗濯機や炊飯器で長い歴史がある白物家電事業を、中国家電大手の美的集団に売却する。1930年に日本で初めて洗濯機を製造するなど、東芝ブランドを一般消費者に広める役割を果たしたが、不正会計問題で売却に追い込まれた。白物家電での東芝ブランドは続くが、開発は美的集団主導に変わる。
東芝は白物家電を手がける100%子会社「東芝ライフスタイル」の株式の80・1%を30日付で売却する。美的集団はその後40年間、東芝ブランドを使う権利を持つため、白物家電で東芝ブランドが消えるわけではない。ただ、商品構成や新商品発売の時期、製品の販売地域、部品の調達先などの経営判断は、新たな親会社の美的集団が担う。
東芝ライフスタイルは「製品開発の体制やスタンスは変わらない」(広報)とし、製品の故障などの相談電話も「変更はない」という。株式売却後で最初の新商品は、7月1日発売の紙パック式掃除機(想定価格税抜き5万5千円前後)。ダニや花粉をたたき出す電動ふとんブラシをつけた。8月上旬からは、オーブンレンジ「石窯ドーム」(同9万~17万円前後)を7年ぶりに刷新して発売する。IHジャー炊飯器も5月に新製品を出した。
東芝の白物家電事業の源流は1890年代で、戦後は炊飯器や電子レンジを日本で初めて開発した。美的集団への売却は大きな転換点となる。業界では「家電のパイオニアとして消費者に選ばれる商品を追求し続けてほしい」と今後の新商品に期待する。(平林大輔)