北海道襟裳岬で捕獲され、水族館にやってきたゼニガタアザラシ=北海道登別市の登別マリンパークニクス、三上修撮影
北海道の襟裳岬周辺で深刻な漁業被害をもたらしているゼニガタアザラシが、水族館で第二の人生を歩むことになった。環境省が今年から捕獲に乗り出し、29日にメス1頭が北海道登別市の「登別マリンパークニクス」に引き取られた。環境省が捕獲した海獣を水族館へ引き渡すのは初めて。
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ゼニガタアザラシは、国内では襟裳岬や北海道東部の太平洋にしか生息しない準絶滅危惧種。環境省は、漁業と共存するために管理計画をつくり、襟裳岬周辺に生息する推定約1千頭を3年かけて2割減らすことをめざしている。
環境省は5月19日から28日まで、春のサケ・マス定置網で11頭を捕獲した。生け捕りにできたオス1頭、メス5頭の計6頭はいずれも今春生まれた幼獣。譲渡先が決まっていない5頭は、北海道小樽市の水族館などで、人の手から冷凍のスケトウダラやイカナゴを食べる訓練中で、日本動物園水族館協会が環境省の依頼を受けて譲渡先を調整している。
環境省えりも自然保護官事務所の蔵本洋介自然保護官は「野生動物の問題を考えてもらう機会でもあり、捕獲した個体は可能な限り有効に活用したい」と話している。(奈良山雅俊、深沢博)