燃費不正問題を起こしたスズキは29日、鈴木修会長兼最高経営責任者(CEO、86)がCEO職から退き、長男の鈴木俊宏社長(57)がCEOを兼務すると発表した。問題の原因が修会長の「ワンマン体制」にあったとされたことを受けた人事だ。ただ修会長は同日の株主総会で、全国行脚して経営の立て直しを図ると強調。「ワンマン」脱却はまだ先になりそうだ。
スズキ、鈴木修会長がCEO職退く 後任は長男の俊宏氏
総会で修会長は、「ご迷惑、ご心配をおかけした。おわび申し上げたい」と謝罪。問題が発覚した5月の軽自動車の販売は前年同月より15%減ったが、6月は増加傾向にあることも明らかにした。
修会長は「9月いっぱいまでかけて全国(の販売店)を回り、なんとか前年(の販売)を上回りたい」とも述べた。会長職からの退任も求める意見も出たが、「私がやってきたなかで最悪の事態。再発防止のため、徹底的に会社に残って責任を全うすることが、男として大切だと思います」と応じた。
発言には株主から拍手も上がり、期待感の強さを示した。同時に、経営はなお「修会長頼み」であることが明白にもなった。浜松市の男性株主(75)は「いまスズキをリードできるのは修会長だけ。総会に出て安心できた」と話す。(山本知弘、西尾邦明)