続く円高・株安水準、長期金利は過去最低更新
世界の金融市場に大きな動揺をもたらした英国の欧州連合(EU)からの離脱決定から1週間が過ぎた。市場はいったん落ち着きを取り戻しつつあるが、円相場は高止まりし、株価も離脱決定前の水準を回復していない。日本企業の間にも景気の先行きへの不安が広がる。
特集:イギリス、EU離脱へ
「もう少し状況を見極めないといけないが必ずしも楽観できない」。三菱地所の杉山博孝社長は1日の記者会見で、英EU離脱決定の影響に懸念を示した。
当面日本企業への影響が大きそうなのは、高止まりする円相場だ。円安に支えられて業績回復を果たしてきた輸出企業には痛手だ。航空エンジンなどを海外向けに手がけるIHIの満岡次郎社長は「間違いなく短期的には円高を覚悟しないといけない」と心配する。
年明けに1ドル=120円台だった円相場はじわじわと円高が進み、6月に入ると離脱派勝利の観測が浮上するたびに、安全資産とされる円が買われて円高が加速。離脱が決まった先月24日には、約2年7カ月ぶりの1ドル=99円台をつけた。日経平均株価も1286円安と急落した。
あれから1週間、市場はいったん落ち着きを取り戻したようにも見える。だが円相場は1ドル=102円台と離脱決定前から水準は切り上がったまま。今週5日続けて上昇した日経平均も、離脱決定前の1万6238円には届いていない。
世界経済の先行き不透明感から…