長崎原爆忌の8月9日に長崎市が開く平和祈念式典で市長が読み上げる平和宣言の内容を検討する起草委員会の第3回会合が2日開かれた。市が示した平和宣言の最終素案では、オバマ米大統領の広島訪問の意義に触れる一方、オバマ氏を含む核兵器保有国のリーダーに「核兵器のない世界」に向けた対話に臨むよう求める内容を盛り込んだ。
特集:核といのちを考える
最終素案ではオバマ氏の広島訪問について、被爆者と抱き合う姿が感動を与え、被爆地を訪れることの大切さを示した、とした。一方で2月から開かれている国連の核軍縮作業部会に核保有国が参加していないことを指摘。オバマ氏をはじめ核保有国のリーダーに対話に臨むよう求めている。
委員からは「『感動』という言葉でひとくくりにすると、つらい思いをする被爆者もいるのでは」「原爆投下の評価を巡る米国の世論に市長が注視しているということを表明してもらいたい」などの意見が出た。オバマ氏への言及が多すぎるという指摘もあった。
起草委の会合は今回が最後となるが、起草委の委員長を務める田上富久市長は、今後も委員の意見を聞いて平和宣言の内容を詰めたいとの意向を示した。(岡田将平、山野健太郎)